NYCのテクノロジー企業の台頭

ゴッサムシティに前代未聞のことが起きています。しかもそれがすべてテクノロジーなのです。かつてはシリコンバレーに鎮座して、ニューヨークを金融業界に託していたテクノロジー企業が、マンハッタンに根を下ろし始め、その波及効果が市場全体で感じられるほどになっているのです。

当年第1四半期、テクノロジー、メディア、インフォメーションに従事する企業は総じて、金融関連企業を上回るスペースを占めました。これはニューヨーク市のオフィス賃貸借市場の史上初のことであり、価格設定の反転を招いています。過去に人気のあった建物は、高い空き室率の打撃を被り、過去に人気のなかった建物は賃料の高騰を豪語するようになっています。今日、グランドセントラル駅に接続するGraybar Building(420 Lexington Avenue)などの象徴的な建物の賃料は、ユニオン・スクエアやフラットアイアン・ディストリクトのクールなロフトの賃料よりも安くなっているのです。このダウンタウンの両地区の素敵なロフト・スペースは、かつては1平方フィート当たり30ドルでしたが、今や、その2倍近くの賃料を要求するようになっています。

What’s it all about, Alfie?

このように考えましょう。テクノロジー企業はヤングでヒップなアントレプレナー的傾向にあります。フードパーカーを着た二十何歳かの百万長者を考えてみてください。Facebookのマーク・ザッカーバーグを考えてみてください。彼らのようなマスターズ・オブ・ユニバース(世界の覇者)は、マディソン・アベニューにあってエレベーターが多数のスーツ姿で混み合うような堅苦しい建物などに入居したくありません。彼らは窓が大きく天井の高いクールな建物に入りたいのです。ロフトに転換されたスペースや製造業スペースを求めているのです。仲間たちといたいのです。そして、そのすべてが起きているのが、ユニオン・スクエア、フラットアイアン・ディストリクト、ミートパッキング・ディストリクト、ソーホー、トライベッカ、ハドソン・スクエアなのです。これらの地区は、常にクリエイティブな企業の進出先ではあったものの、今や、急成長中のテクノロジー業界の震源地と化しています。その結果として、空き室率が低下し、賃料が上昇しています。たとえば、ユニオン・スクエアの空き室率は今や、マンハッタンのサブマーケットの中でも最低水準となっています。

上記の地区のテナントには、GoogleやYelpなどのブルーチップ、多種多様のテック・インキュベーター、General Assemblyなどの教育関係、突如としてニューヨークに進出する必要が生じた西海岸の有力企業、その他まだ聞いたことがないけれど多分そのうち耳にすることになる数多の企業が含まれます。世の中に変化をもたらそうとしているこれらの企業は、すでにニューヨーク市の商業不動産の様相を変容させています。

2010年、Googleは、15丁目の角にある111 8th Avenueを購入しました。この物件は元は貨物倉庫で、8番街から9番街まで1ブロック全体を占めています。Googleは、この建物の合計面積290万平方フィートのうち、まずは約50万平方フィートを占有し、過去2年間にさらに10万平方フィートを追加取得しています。同社は、必要に応じて既存のテナントを買収し、今後も獲得を継続していきます。この物件は、純粋にクールで活発な倉庫スペースで、従業員がオフィス内でスクーターを乗り回しています。いかにもドットコムの2世代バージョンですが、これらの企業は、1999年とは異なり、長期的成功に向けた態勢を整えているように見受けられます。

[最近フラットアイアン地区のパーク・アベニューと21丁目の角にオフィスを移転したブログのプラットフォームTumblrや、568 Broadway(プリンス・ストリートの角)を本拠と呼ぶFoursquareなどの]他の人気テクノロジー企業も、テクノロジー不動産ブームに貢献しています。興味深いことに、テクノロジー最大級の2社、FacebookとTwitterは現在、グランドセントラル駅近くの335 Madisonと340 Madisonにそれぞれ入居していますが、これは、340 Madison のFacebookが出た元スペースにTwitterが入ったという図式です。

一方、すでにミッドタウンに建物を所有している不動産所有者は、従来型の建物をリブランディングし、若いアントレプレナーの企業が求めるようなスペースに転換すべく、懸命に尽力しています。たとえば、597 Fifth AvenueのScribner Buildingを見てみましょう。2、3年前、この建物は金融サービス会社のみを相手にしていました。現在、金融サービス市場は低迷中です。そこで所有者は、相当たる努力の末にScribnerに新しいアイデンティティを与え、「ミッドタウンのソーホー」と銘打って出ました。292 Madisonは、法律事務所を対象としてきたグランドセントラル駅近くの建物ですが、従来の「内装済み」プログラムを変更し、数階の空きフロアを高い天井、オープン・スペース、ガラス材の多用などの「テクノロジー」対応の設定でビルドアウトしたところ、数ヶ月で完売しました。家主は、空気の変化を読み取り、所有する建物がこの成長市場においてトップ・オブ・マインドに留まるよう、工夫を凝らしています。

かつては広告代理店が集まる広告業界の代名詞であったマディソン・アベニューにFacebookとTwitterが改めて足を踏み入れたことが、新たな変化の波を生み出すきっかけとなるか否かは、まだ分かりません。しかし今のところ、ミッドタウン・サウスとそれに隣接するクールな近辺こそ、いるべき場所、そして見られるべき場所であると見受けられます。