オフィス・スペースのリースにおいてテナントが犯す8つの間違い

いや、間違いは誰にでもあるものです。しかし、事業のためにオフィス・スペースをリースする際には、間違いは金銭、時には多額の金銭を意味します。テナントがオフィス・スペースを賃借する際に犯す最もよくある8つの間違い、ならびに間違いを回避する方法に関するインサイダーの見解を述べます。

1. 計画性の欠如

信じがたいかもしれませんが、多くのテナントは、自ら正確に何が必要であるかが不明瞭です。1万平方フィートの物件を探していながら、実際に必要なのは1,200平方フィートであれば、これは問題です。建築家にスペース・プログラムを運用してもらい、必要面積を把握しましょう。多数の建築家は、テナント代理人を務める不動産ブローカーの頼みに応じて、このサービスを無料提供します。優秀な建築家と優秀なブローカーで両脇を固めれば、考慮が及んでいなかったかもしれない事項を明確化することができます。たとえば床耐荷重量です。金庫や大がかりな設備を設置する業種であれば、補強済みの床が必要となります。または、スペースに追加の配電が必要であるとか、特別な通信システムを必要とするとか、こうした詳細を予め把握しておくことが、時間と費用を節減し、後の悪化を軽減します。

2. テナント代理の欠如

テナント代理人を利用することの便益に関しては、これのみで論説全体を埋めることが可能なほどです(あ、そうでした、これはすでに書きましたね!)。ですが、ここでは自分側についてくれる味方を雇うに越したことはない、と述べるだけに留めておきます。不動産ブローカーは市場の裏と表を一部始終理解しています。彼らはクライアントの代わりに交渉することができ、何にもましてクライアントの特定事業に最も適した対象建物を絞り込むことができます。彼らのノウハウと助言は必要不可欠で、クライアントが結局わずか2、3ヶ月後に退居せざるを得ないようなスペースをリースするような事態を未然に防ぐことができます。弁護士についても同様のことが言えます。多くのテナントが商業不動産を専門としていない弁護士を雇用していますが、これは間違いです。テナント代理人と同様、商業不動産というモンスターを理解する弁護士が必要とされるのです。

3. 文書の検査の欠如

オフィス・スペースのリース契約とは、大量の書類作業を意味します。テナントが犯す最もよくある間違いの一つは、自らが署名する文書に対して十分な注意を払わないことです。家主は、自分の建物から合法的に可能な限り利益を搾り取る方法を実にじっくりと熟慮します。家主がテナントに与える長期リース契約は、公正であることを目的に策定されたものではなく、家主が収益を上げるために明示的に構成されています。さらに、所有権関連文書も精査する必要があります。対象スペースが商業用として、かつ自社特定の用途において、合法的なゾーン内にあること、そして多種多様の安全基準を遵守し実勢の規則および規制に準じて建てられたものであることを確認します。また、リース契約への署名に先立ち、スペース内のHVAC(冷暖房・空調)ユニットを検査させましょう。家主は、ユニットは正常に動作する、とリース契約に慣行的に記載しますが、往々にしてそうであろうと推定するだけで、実際に点検してはいません。スペース占有後にHVACユニットを交換する必要が生じた場合、多額の出費が生じます。

4. 賃料および保証金への対応

多くの人々は、月額賃料を合意する前に、類似物件を基準に沿って比較検討せず、結果的に過剰な賃料を支払うはめに陥ります。所有者との交渉に入る前に、同程度のオフィス物件との比較を行い、その地区の市場実勢価格を見極めることが重要です。これはテナント代理人ブローカーの不動産業初級入門編です。とにかくテナント代理人を雇うことです。彼らはすべきことを分かっています。また保証金も、需要と供給ならびに通常の市場慣行に戻づいたものでなければなりません。しかし、対象オフィス・スペースの所有者がその賃貸を急いでいると見受けられる場合は常に、所有者と交渉してコストを幾分か節減することが可能です。これも再び、テナント代理人がいると便利な状況です。テナント代理人が代わりに不愉快な仕事を一手に引き受けてくれます!

家主は通常、保証金を、現金でも小切手でもなく、銀行からの信用状(以下「LC」)で受領することを望みます。その理由は、少なくともニューヨーク市では、次のとおりです。すなわち、テナントが破産した場合、現金は裁判所が支配権を制し、あらゆる種類の債権者の債権回収を経た後で、やっと家主への支払いが回ってきますが、その一方で、LCは、破産訴訟手続きの全期間を通じて家主の手許に留まります。LCの取得にかかる期間は決して短くないことに留意してください。これは一昼夜で得られるものではなく、2~3週間を要するのが普通です。

5. リース条件の不確認

テナントは、リース条件を注意深く熟読して理解しなければなりません。通知期間は妥当だと思えますか?たとえば、家主がテナントを建物内の別の階に移転させる権利を有する、とします(より小規模な取引によく見られる権利です)。家主は何日前に事前通知を与える必要がありますか?リース契約に30日と記載されていたら、果たしてどうしますか?30日以内に内部の物理的なモノとテクノロジーの両方をまとめて移転を実施することが、実際に可能ですか?おそらく無理でしょう。サブレット(転貸)および譲渡の権利に関する条項が包含されていますか?それは公正なものですか?

6. 交渉力の過小評価

テナントは家主が全権を有すると考える傾向にありますが、これは実はそうではありません。とどのつまり、家主はサービス業に従事し、家主の事業は建物の入居率を最高水準に保つことにあります。これが入居率維持のためにテナントと交渉しなければならないことを意味するなら、家主は交渉するでしょう。このことは、小規模のテナントに関しては特に真実です。仮に、総面積100万平方フィートの建物に入居している従業員5名の会社であっても、自らが考えるよりもはるかに重要な存在なのです。ニューヨークのテナントの90%は、こうした小規模テナントです。大企業はそもそも数が限られています。

7. 偏向的なブローカーからの助力

テナントは時おり、大手不動産会社を起用すればより良い代理を受けられる、といった感覚でいます。テナントと家主の双方を代理している大手企業は、彼らは物事をあらゆる角度から把握している、と主張します。この点は真実ではあるものの、実際には、大手企業の忠誠心は常に家主側にあるのが現実です。いざとなれば、大手不動産会社はテナント側よりも家主側に味方します。

8. Too Little Time

テナントは、リース更新または移転のいずれについても、その所要期間をひどく軽んじています。所有するスペースの広さ次第、利用するテクノロジーの複雑さ次第では、取引の交渉期間は軽く6ヶ月から12ヶ月を要し、大手テナントの場合はその2、3倍の期間を費やす可能性もあります。