テクノロジー企業によって混乱したニューヨークのオフィス賃貸借市場の様相と、ニュー・ダウンタウンについての当社の観察

ずっと岩屋にこもっていて外界との接触がなかった人のために一応述べますと、ニューヨークでは今、テクノロジー革命が起きています。過去2年間に、仮に何千でなければ何百ものテクノロジー企業がニューヨーク市で新しく誕生しました。そのうちの何社かは急成長中で、スペースをがつがつ飲み込んでいます。西海岸の最大手がマンハッタンに根を下ろすなか、馴染みの薄い上場会社が、多々ある中でもとりわけオースティン、ボストン、ロンドン、イスラエルなどから、ニューヨークにスペースを求めて参入してきています。

これらの企業を景気付けるエンジニア、プログラマー、及びその他の専門家をめぐって獲得合戦が繰り広げられています。人材の大半は、当然40歳未満、しばしば30歳未満の若者たちです。そしてこの人材プールにとって、収入は唯一の懸念でも主たる懸念でもありません。彼らは、違いをもたらす有意義な仕事をして充実感を得たいと思っているのです。そして彼らは、クールなスペースで過ごしたいとも思っています。

では、彼らの「クール」の定義とはいったい何なのでしょうか?彼らは、窓が大きく、天井が高く、床材が木製かコンクリート製で、ふんだんなオープン・スペースを備えたロフトか転換された製造業スペースを望んでいます。もはや、ガラスと鉄鋼で建てられたクラスAの摩天楼、勝者が入る角の個室、といった話ではなくなっているのです。TV番組『Mad Men』に描かれたマディソン・アベニュー時代は消滅しました。今のテクノロジー企業、そしてそれらに寄り集まる二十何歳かは、ユニオン・スクエア、ハドソン・スクエア、ミートパッキング・ディストリクトにいたいのです。

このことは、ニューヨーク市のオフィス市場に大きな混乱を引き起こしています。テクノロジー狂騒曲の開始前は、金融機関と法律事務所が大半のスペースを占め、それらのテナントはミッドタウンやプラザ・ディストリクトを好んでいました。典型的なオフィスは、吊り天井、多数の個室、その傍に助手と働き蜂のキュービクルといった設定内容でした。そして費用節減を目指す者は、ダウンタウンに行って同種の建物を探しました。

過去1年間、関連記録史上初めて、テクノロジー企業が金融機関を上回るスペースを占めました。この需要の劇的な移行は、不動産業者がミッドタウン・サウスと称する地区に多大な影響を及ぼしています。たとえば、当社ヴァイカス・パートナーズは2年半ほど前に、ユニオン・スクエアにある典型的なロフトを、1平方フィート当たり約30ドルで、テナント改善完全保証レターと何ヶ月分もの賃料免除を合わせたリース取引をまとめました。換言すると、家主は、1平方フィート当たり30ドルでこのクライアントを確保するために、テナントへのコンセッションに百万ドルも盛り込みました。

今日では、この取引は、1平方フィート当たり55ドル~60ドルで、しかもコンセッションがはるかに少ないものとなるでしょう。つまり3年未満で100%増を記録したことになります。

この地区に建物を所有するごく少数の幸運な人たちは、とてもハッピーです。その他大勢の私たちは、ニューヨーク市の商業不動産の自然の法則に従う秩序の混乱に直面しなければなりません。

スペースをめぐる競争の激化は、テクノロジー企業に大人気の地区でのコストを釣り上げていますが、ニューヨーク市に参入するテクノロジー企業の激増は衰えていません。テクノロジーのスタートアップは今もなお、割安なスペースを求め必要としています。彼らは、高すぎる「クール」なエリアから締め出されるにつれて、その代替的選択肢であるマンハッタンのダウンタウンに移行しています。テナントが今なお1平方フィート当たり30ドルのスペースを見つけることができるのは、ここなのです。

「それを造れば、彼は必ず来る」という偉大な伝統に則り、ダウンタウンの賢い家主たちは、このダウンタウンの新種テナントを受け入れ、ウォール・ストリート、ブロード・ストリート、ブロードウェイ南端の建物で「テクノロジー対応の設定」を提供しています。ひと昔前なら従来型のオフィス志向の設定に対応した内装済みであったかもしれないスペースは、今や、テクノロジー志向のテナントを魅了するための剥き出しの天井、コンクリートの床、数多くのオープン・スペースなどで構築されています。

そしてこれが功を奏しています。PWC(プライスウォーターハウスクーパース)は、同社の直近の不動産調査において、「リース活動はダウンタウンにおいて極端に強力である。ダウンタウンの第1四半期中の新規取引は合計面積170万平方フィートを記録し、市内の新規リース契約上位10件のうち5件を占め、ダウンタウン市場の第1四半期の賃貸借率としては2004年以来最高水準に達した」と報告しています。

基本的な需給理論が示唆するとおり、ダウンタウンのスペースの需要が高まり、利用可能な物件が一定量であれば、価格はそれに従って上昇します。これが過去6ヶ月間にわたり徐々に現実化ししている様子を見てきた当社は、ダウンタウンの価格は今後1年でさらに高騰すると確信しています。当社の予測としては、賃料は今後1年で20%の上昇を示す可能性がある、特に相当な需要沸騰が見られるより低価格のスペースに関してはさらに上昇する、とみています。

ダウンタウンの長期テナントでリース契約を更新することができる場合は、更新しましょう。ローンの低金利と同様、割安の賃料を固定する機会は、まもなく終了しますから。現行のリース契約の残余期間が1年~3年である場合には、早いうちに更新を重視すべきでしょう。お電話ください。お力になること請け合います。